digital 千里眼 @abp_jp

アナログな日常とデジタルの接点

次期大統領の生い立ちを知る

引用ばかりで恐縮です。あくまで元の記事を読むのが基本です。引用は文脈を作り出すために便利ですが、元の著者の意図をも時に削ってしまいますので

大統領選の経緯と舞台裏

  • http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20081104/176222/
    • 「恥ずかしい話だけど、4年前はブッシュに投票してさ。でも、もうあんなヤツはうんざりだ。なんでウォール街だけが儲かるんだよ」
    • 毎年冬の季節、米国では投資銀行の巨額のボーナスが話題に上る。新入社員で1000万円を超える、とも言われる金額は、庶民感覚とはかけ離れている
    • 「オレは医療保険にも入れねえ。この違いは何なんだよ。経済がおかしいんだ」
    • 「希望(HOPE)――。“希望”が私を、今日、この場に立たせている。ケニア出身の父と、カンザス出身の母の間に生まれた私のストーリーは、アメリカ合衆国でしか起こりえなかった」
    • 2007年、オバマとヒラリーの両陣営は、共に約1億ドルを集めていた。だが、その方法は大きな違いがある。小口献金を、インターネット経由で集めているのが特徴だ。多くは法で定められた献金の上限(2300 ドル)に達していないため、メールで支援者に「追加支援」を頼めば、巨額の資金が集まってくる。一方、クリントンは伝統的な政治資金の集め方を主軸に置いた。「ヒラレイザー(ヒラリー集金協力者)」と呼ばれる大物支援者が支える。クリントン支援者は2300ドルの限度いっぱいに献金した人が多く、追加支援が難しい

この記事は選挙戦の裏側をうまく描いていて良くできていると思う。長文過ぎるのがちょっと残念

保健医療「制度」では米国は後進国だ。国民皆保険制度のない米国は移民・低所得労働者を中心に多くの保険未加入者を抱えると言われている。保険に加入できないものは治療費を全額負担しなければならず、医療機関にかかることができない人が出てくる。

米国民の平均入院日数を調べてみると世界最短であることが多い。これは医療技術に比例し世界一高い医療費を入院日数を短く抑えることで節約したいからなのだ。

他に昔から保険の支払い拒否問題がある。「保険会社の契約病院の診断しか認めない」等その悪質な手口が米国CBSテレビ 60 Minutes で取り上げられていた(蛇足だが後に日本で起こった支払い拒否問題は、この米国保険会社をモデルにしていると疑わせるに十分だ)

ヒラリー陣営の資金集めが大口中心で献金の上限金額のため追加支援が難しく、資金繰りが悪化していたとの指摘が新しい。ネットを駆使した気軽で新しい献金方法は日本の選挙戦でも実装されることだろう

地域活動

  • http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20081105/176303/
    • ニューヨークのコンサルティング会社で高給を取っていた生活を捨てて、サウスサイドにやってきた。そして、住民が抱える社会問題を解決するために、年俸1万ドルで地域活動家になった
    • サウスサイドはシカゴの中心からクルマで約20分ほどの所にある。高速道路を出ると住宅街に入り込むが、道行く人は黒人ばかりだった
    • 黒人たちがサウスサイドに溢れていた。だが、住民同士の亀裂が深まっていった。住んでいる地域、職業、生活習慣…。あらゆる違いが、敵味方を分ける境界線となっていた
    • 相手の話ばかり聞こうとするのではなく、まず自分の過去を語る
    • ケニア人だった父は、ハワイ大学からハーバード大学を経て、祖国に戻った。そして、ケニアの成長に貢献しようと思った矢先に、部族対立によって活躍の機会を失った。酒に溺れ、交通事故で46歳にして世を去っている
    • 継父のロロ・ストロもそうだった。インドネシアから将来有望な人材として米国に送り込まれながら、政変によってビザを止められ、帰国を余儀なくされた。「前政権寄り」と見られ、兵役を課されて、遠い島に送り込まれた
    • 90年代、マクロ経済で見れば、米国は不況から脱して成長軌道に乗っている。だが、多くの貧困地区は状況が好転することはなかった。富の集中度を示すジニ係数は上がり続け、先進国で最も格差が激しい社会になっている。それでも、高所得者への優遇税制を続けるべきなのか。一部の富裕層の所得が増え続ける状況に、多くの米国民が疑念を抱く
    • オバマの「ブッシュ減税廃止」や「中間層減税」「国民皆保険」などは、シカゴで遭遇した庶民生活の視点から生み出されている。だから、予備選がスタートしてから1年弱の間、大きな政策のブレがない

「相手の話ばかり聞こうとするのではなく、まず自分の過去を語る」というアプローチは(時間がかかる点で日本人には不向きだが)海外で主張できない日本人にとって示唆的ではないだろうか

ルーツ

  • http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20081107/176582/
    • 当時の大統領、ケニヤッタはキクユ族の出身で、オバマの父はルオ族だった。政府要職にあったオバマの父は、部族主義に反対した。そして、政府から追放される。不遇の日々を送り、酒に溺れ、46歳にして事故死する。
    • テロ組織にとって、民族対立など人々の溝が深く、社会に「憎悪」が蔓延している国こそ、活動に適しているに違いない
    • インドネシアの多くの地域で、モスクと教会が隣り合わせになっている。1つの宗教に凝り固まることを避ける、インドネシア人独特のバランス感覚
    • 戦後の復興を担ったスカルノ政権は、大衆から人気が高かった。だが、彼の社会主義的な政策や、中国や旧ソ連とも近い外交スタンスは、米国にとって脅威となった。政権転覆を目論む米国は、反政府活動を陰で支援したとされる。「親米」か「反米」か――。対立軸で敵味方を判断し、政権転覆や攻撃を仕掛ける。今につながる米国の対外政策
    • 虐殺を繰り返す政権を裏で米国が支えている。しかも、インドネシアに赴任してくる米国人は不遜な態度を取り、現地のことを理解しようともしない
    • 親米政権は、一族による利権政治を続け、腐敗にまみれた。所得格差が広がり、人々の心に溝が生まれていった

人の考え方はその生い立ちに強い影響を受ける。ケニヤやインドネシア、彼のルーツを知ることは、将来の政治的判断を理解する助けとなるはずだ

インドネシアに赴任した米国人が現地のことを理解しようとしない...海外で当地の人々のために働いているにも関わらず、こういった考え方の人はいるものです。人を見る目を磨かなくてはなりませんね