エンジニアの視点から経営を考えるための資料
タイトルは貧弱ですが内容は良いです
経営者の本音と数字信仰のチェーン
『短期志向がイノベーションを殺す』以降に注目したい。以下、自分が「新しい」と感じる視点をを引用する
経営者の本音は、(...中略...)数字で結果を出すことがすべて、最優先です。金融・財務畑の人間がトップに就いた企業では、トップはいつも、何を置いても数字、数字に表れる結果を気にします。
(...中略...)
我々働いている人間は将来、充実した年金を受け取りたいと思っているが、それを運用している年金基金が、企業にいる人間をますます厳しい状況に追い込んでいるという、パラドックスです。
(...中略...)
イノベーションと経営について
『「プロジェクトを6カ月で完成させよ」などナンセンス』では個人的に関心を持っている一般企業の官僚化について書かれています。
規模の大きな企業というのは、多かれ少なかれ官僚的になるものです。(...中略...)しかし近年は、効率的であることや短期志向がなじまない研究開発部門にも、それが求められるようになってきていました。
(...中略...)
一部の大企業は、短期の結果を追い求めるあまり、起業家精神あふれる研究者が必要な研究開発やイノベーションまでも官僚化し、イノベーションを殺すやり方を取ってきたのです。
(...中略...)
何でも壊すのはあっという間にできますが、元通りに再び築き上げるのは非常に難しい。
例にはアメリカの企業名しか出てきませんが、日本の大手企業も「米国流」を模倣した結果、官僚化し同じ過ちを犯している可能性があるものと思われる(詳細や具体例については本文を参照してください)。試しに、日本の大手企業が発見・開発・育成した最近のイノベーションを挙げてみることができますか?
金融産業に足を引っ張られる企業経営者
『収益最優先を目指さざるを得ない現行のシステム』からの引用
トップにしても任期はせいぜい長くて4年ですから、大したことはできない。まず足場を築き、人を動かし、新たな経営の危機に対応し、とこなしているうちに任期切れとなり、自分の退職金を気にして現状維持を図る。
(...中略...)
技術、マネジメント、製造業といった、地道で、長期的で、当たり前の取り組みの結果が「富」です。
心の荒廃が産みだす思想の変化
『大きな危機の後に来る思想の大転換』からの引用
普通の人々は何とか乗り切れても、元々生活が苦しい人ほど苦しくなる、というのが世の習いであり、(...中略...)
ドイツのナチズムが台頭してきたのは、1929年の世界恐慌の後でした。
(...中略...)
皆が同じことを言い、同じフレーズを使うようになってくると危険信号です。密告が横行し、メディアが同じフレーズを繰り返す。議論し忘れている大切なことについて、議論する余地がない空気になる。そうなったら、要注意です。
日本の自殺者が多いことが気になります。「予兆」...でしょうか。悲観的なシグナルを「個人の責任」で終わらすことがないようにしたいものです。
著者
8つの特許をもつ技術者の視点がこれほど広いとは驚きです。物事をスッキリと見通すチカラは過去の歴史と現在に時間を超えた「相似」を見いだすのかもしれません。